前回のコラムでは取り組む補助事業によって分けられる5つの類型の条件を綴らせていただきました。
今回はそれら各類型の事業例を説明させていただきます。
新分野展開
ケース①製造業の場合
航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手し、5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となる計画を策定。
こちらは①製造業という主たる業種、事業を変えず、②新たな製品(航空機器用部品→医療機器部品)の製造を行うため、新分野展開に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
ケース②不動産業の場合
都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたが、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入し、3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%(又は 総付加価値額の15%)以上となる計画を策定。
こちらは①不動産業という主たる業種、事業を変えず、②新たな製品(ウィークリーマンション→レンタルオフィス)の製造を行うため、新分野展開に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
事業転換
ケース①飲食サービス業の場合
日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、 標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定。
こちらは①飲食業という主たる業種を変えず②焼肉店経営という新たな事業を行い③補助事業終了時に新規事業の売上構成比が高くなっている(主たる事業を変更に該当)ため、事業転換に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
ケース②製造業の場合
プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点に おいて、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定。
こちらは①製造業という主たる業種を変えず②産業用ロボット製造業という新たな事業を行い③補助事業終了時に新規事業の売上構成比が高くなっている(主たる事業を変更に該当)ため、事業転換に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
業種転換
ケース①賃貸業の場合
レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンションを経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供することで、3年間の事業計画期間 終了時点において、貸切ペンション経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定。
こちらは主たる業種がレンタカー事業(物品賃貸業)から貸切ペンション(宿泊業)に変わるため業種転換に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
ケース②製造業
コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画 期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定。
こちらは主たる業種が製造業からデータセンター事業(情報通信業)に変わるため業種転換に該当します。
詳細な要件、要件を満たす考え方は以下の通りです。
業態転換
ケース①サービス業
ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく、店舗での営業を縮小し、オンラインサービスを新たに開始し、オンラインサービスの売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%(又は総付加 価値額の15%)以上を占める計画を策定。
こちらは対面のサービスからオンラインサービスへの切り替え(製造方法の変更に該当)事業(情報通信業)に変わるため業態転換に該当します。厳密には製品の新規性の要件も満たす必要があるため、以下の詳細では新たにエアロビクスのサービスも始めています。
まとめ
以上、2回に渡って取り組む事業内容の分類について解説させていただきました。
自社の事業計画がどの分類に該当するか判断される際に、是非ご活用ください。
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